午後

風が乾いて
産み落とされる憂鬱
港では帰って来ぬ船が
噂からも消えてしまう

金色だった太陽の
錆がサドルに積もって
抜け出せない
足も絡めとられ
抜け出せない
叶うわけのない幻想が
川もない橋を渡る
黙って渡る

轡(くつわ)の鳥が
眠りの羽で撫でる
ただ眠りはこない
涙で目は塞がらない
それは永遠の囚徒には
やさしすぎる罰だ

空は雲もまばらで
感謝されるべき青だ
行き交う靴音が
異国の言葉をしゃべる
海の底では
いつかの約束が揺らめく

ジーンズの似合わぬ歌が流れ
汽笛が遠い夢のように泣いている
縋るものは白日の滲み
手のこうを切り裂いて歎く午後






自由詩 午後 Copyright  2006-04-19 01:39:12
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