春は悪戯に咲き、そして散っていく
かのこ

春はなんだか
息苦しいのだ
花のかほりが
痛々しいのだ

少し、夜が短くなっただけ
当惑する私を
あなたは涼しげな顔で見て
そして、微笑んだ

惜しみなく手を伸ばす癖をゆるして
それだけで仕合せなのだと
気付いた今
その首筋にすがりつきたいなんて
春の悪戯にひとしい衝動が
邪魔だとすら思った

どうして微笑んでくれたのか
理由を知りたい
そう思って、熱のこもる床の中
夢の中でまたあなたは微笑む

嗚呼、きっと春の息苦しさは
芽吹くからだうずくように
夜を覚えたのは
あなたの吐息に触れようとする為

仕様のないことだと言ってしまえば、それまでだろう
あなたの背後で
春がわらいながら私を見ている
あれはあなたの連れでしょうか


自由詩 春は悪戯に咲き、そして散っていく Copyright かのこ 2006-04-17 14:15:32
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