小太郎

僕がいない間に何度も
雪は降って
菜の花が咲いて
キャンプファイヤーが灯り
もみじが色を変えたから

ふいに戻っても
もう僕に向かって
輝いてくれるものはない

仲間とは一年前にも会ったけれど
あれはただ会っただけという“形”
弁解の時間のない中で
僕が望むような話をして
意見を違えたら
もう永遠に別れてしまうかもしれない

だから全員で 今も変わらず楽しく元気で馬鹿をやっています
という“形”

仲間の幸せな未来を僕たちは願ったでしょ?
まわりが幸せじゃないと自分は幸せになれないと思っていたでしょ?
だから嫌いなところをなおそうともしたし
先生の味方だと言われれば本気で怒って物だって投げつけた

僕たちは一人だけの幸せに意味がない事を知っていたし
一人だけ幸せになるのはとても悲しいことだと知っていた
海に行くのはひとつでも思い出を増やしたかったから
時間を止められないことも知っていたけど
もしかしたら止められるかもしれないとも 本気で考えていた

見た目じゃなくて中身に自信があったでしょ?
形じゃなくて本当に思ったことを言っていたし
見下してくる大人を一番きらっていた

変わったのはみんなかもしれないし
僕かもしれない

僕だってもうあの頃みたいに
頻繁には笑わなくなったし
もう大きな声で笑えなくなったから




自由詩Copyright 小太郎 2004-02-10 01:07:08
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