さくら貝のうた
銀猫

散る散る  ちるらん
花びらの
風に任せた行く先は
夏の匂いの西方か

揺り揺る  ゆるらん
水面に降りて
さざめく海に恋がるるか

思えば君に逢うた日の
宵は海辺に砂嵐
さらさら  去りた足跡に
桜の貝の花びらを見る


嗚呼いつぞやのくちづけに
爪の色まで紅染めて
花を真似た かなしき貝殻の

ほろろ  涙の向く先は
去りゆく君の眼差しの
真直ぐな熱に耐えかねて
揺る揺る こころに
砂の舞う 舞い 舞う


去るる  さりさら  さくら貝




自由詩 さくら貝のうた Copyright 銀猫 2006-04-16 14:12:51
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