13
霜天

足跡は
続いていく交差点の
その先に落ちている
踏締めるには少しだけ、遠い景色

よくありそうな一日を
(転がるように)


 *


無駄なことだと、言葉にしたものと
無駄なものだと、言葉に出来たことと
僕らが言葉に出来なかったものたちと

ひとつの点が落ちるように、なればいい

今、筆先にて


 *


本を売っていた友達を
僕らはそのまま「本」と呼んだ
ここから先へ手紙を書こう
集まる筆先に順番をつけて

後は、ここに来てくれるのを待つだけだ


 *


長い廊下の先には
窓の無い部屋がある
カーテンだけは揃っていて
風に揺れる日を夢見ているらしい

夢を見ない日が、増えた
もっと眠りたい


 *


テトラポッド
波の、白い
水平線

某月十三日
何も覚えていないと思う


 *


十三番目までドアはあって
その全てに名前があるらしい
行く先はすでに決まっていて
あとは待ち焦がれるだけらしい

僕は素通りすることにして
さて、あなたなら


 *


一週間
の十三日目
並べられたロウソクや
積み上げられた空白
明日になるのが
もっと遅ければいい


 *


明日は早く寝なさい
明後日も、早く寝なさい
その次も、その次も

何度言われたら
言い返してもいいだろう


 *


反論、しました
反対してみました
逆立ちしてみせました
転んでしまいました

しっかりとメモに取りたいことが
こちらには多すぎる


 *


手帳のページを継ぎ足しておいたから
後は自由に使ってかまわない
目次を書き換えておいたから
たぶん君でも迷わないだろう

花が咲いたこと、予定
天気、晴れ


 *


十三ページ目
昨夜のことを書いた
明日のことを書いた
その日は何もなかった

何もない日を繋ぎ合わせたら
どのくらい遠くまで飛べるだろう


 *


全てはテーブルの上に並べられて
君の帰りを今も待ち続けている
並べられた嘘の数だけ
誰かが迷うのを知っているから

十三
印を付けたカレンダーの奥
誰かが笑う予感がする


 *


(誕生日)

君と一緒に歩いた
それから
花の香りがした


自由詩 13 Copyright 霜天 2006-04-16 02:30:23
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