春の微動
do_pi_can

遥か高みには
まだ、冬が居座るらしいが、今日の空は
新しい季節の名前を冠せられた
無色の風がひそやかに通り過ぎ
木々を一斉に芽吹かせる

遮るもの一つ無く
高みに向けて突き抜けた

その指し示す方向に
手を高く揚げ
君は、落ちていくがいい

過去の傷跡に足踏みする心は
高みに落ちるほどに
輝きを増すだろう
そこから見上げる地上の山々は
芽吹く色に染め上げられ
君の心を受け入れる

君を少しでも慰められるなら
新緑までの束の間の微動に
私の心も合わせてみよう
君がやすらぐならば
そうしよう

やがて、平安を得て
落ちていった先の
空の高みから
地上に駆け上る
君の心

それを受け止めるのは
私なのか、私でないのか
そのような事には頓着せずに
好きな所に駆け上がるがいい

どこに上り着いても
私は君を
見ていよう
君の心の輝きを
見ていよう
そっと、そっと、
見ていよう
視線を
この風に乗せて
見ていよう


自由詩 春の微動 Copyright do_pi_can 2006-04-12 02:07:43
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