人妻キューブ
ヨルノテガム







人妻嗅覚が

人妻爬虫類並に

人妻いやらしい臭いを

嗅ぎ分けて

人妻ゆっくり

のそのそと

こちらに近づいて来、

腐りかけた野菜果実だけを選んで

人妻ムシャムシャと



平らげた








人妻の飼うトカゲが

人妻大陸を横断し

人妻果花が 底に見える

人妻アリ地獄へ

転がり落ちて




もう戻って来なくなった




そこには死した臭いが
立ち込めるのみであった








籠牢の中の柵越しに

囚われの人妻が繋がれて

毎夜現れるヤモリの訪問に

雨の湿りっけを感じ撫でていた

人妻は わたしと入れ代わりませんか?と

半ばおとぎばなしのように

ヤモリに

語りかけてしまった








人妻手足が垂直の外壁面を捉えて

人妻ピタピタ階下へ降りていったのは

闇夜の雨上がりであった


足下近くまで 腹這いになってやって来て、

早くあなたも腐らないかしら と

主人の足首をおいしそうに人妻見つめたのは、

さわやかで

晴れ晴れとした

底抜けの人妻草原の面顔であった















自由詩 人妻キューブ Copyright ヨルノテガム 2006-04-12 01:00:50
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