屋上日和
本木はじめ
いつまでも鳴らないチャイムがあるとして今ぼくたちがいる長い放課後
約束を守れば破ることができないのバイバイ昨日のぼくら
ばらまいたマイナス+まいなすの海の山のゆめの街路の/
ヴァイオリン叩き壊した屋上でその日見たくろみどりいろの空
髪を切ることができない春の日に釣りにゆくきみ追い駆けるぼく
たくさんの弁当食べたきみがきみが毎日作ってくれた(くうはく)屋上
「春はどこ?」辺り見回すきょろきょろと眼鏡を探す博士のように
不可思議なことが嫌いと言うきみのシューズの色が片方ちがう
カフェオーレたくさんしゅるいがあり過ぎてぼくの頭は真っ白になる
いつの間にこんなに春になったのかパラパラ漫画を見るかのように
ヘッドフォンしたままきみの言い訳を聞いてたでかい夕焼け見つつ
花カノンきみが名付けたぼくらしか知らない歌がこの世にあった
錆びかけたフェンスの上に手をついたきみが止めるのわかってたけど
僕たちの影はあの日の屋上で今日も真っ赤な夕陽を見てる