夜空の微熱
たりぽん(大理 奔)

星の遠めがねを峠に据えて
のぞき見る未来への深淵
みんななぜか震えていたね

体温を奪ったのは
外套をはためかせて
丘を吹き昇る風ではなかったんだ

風のゆくえを仰ぎ見る先に
透明に横たわる
星空が

   届かなかった想いと
   薄皮を裂ってしみ出す祈りと
   震えて途切れがちな呼び声

奪ったのだったね

私の想いを奪ったのは
外套をはためかせて
丘を吹き昇る風ではなかったんだ

君のゆくえを見つめる先に
透明に横たわる
星屑は

   それを知って
   はじめて気づいたんだ
   頬をつたう、微熱

遠めがねで見ても
大きかったり
小さかったり
するだけで




自由詩 夜空の微熱 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-04-08 21:49:27
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