時のことば
まきび

わたしたちは
いただいた分、もしくはそれより多くを返さなければなりません

わたしたちにお金があるのは
お金という船に乗せて
明日生きるためにお金を欲している人たちに
優しさを分けさせていただくため

わたしたちに家族があるのは
独りっきりの子どもたちや
寂しい心の大人たちの心を
そっと推し量れるようになるため

わたしたちに太陽があるのは
生きているということのすばらしさを
そして数々の感謝を
いつも思い出させていただくため

そう思ってみてもわたしは
お金に振り回されてしまいます
募金をするときも
わたしが自分の欲しいものを買うその
ほんのひとかけらしか差し上げないから
そんな浅ましい心のあることが
とても悲しくなるのです
この日本中にいえ、世界に
独りっきりの老人がたくさん居ると聞いても
周りには居ないので手の差し出しようもないと
ずっと目をつぶってきたのです
太陽を見てもまぶしく思うだけで
自然への感謝も、誰彼への感謝すら
いつの間にか忘れてしまっていました

ああ 人間は哀しい
わたしは悲しい

しばらくして歩き出すときに
わたしは思いました
小さき心のにんげんならば
小さきことをはじめよう

わたしが誰かのことも考えていられるように
自分のことばかり必死になって
思い上がったりしないように

そっと祈ることからはじめよう
周りを見ることからはじめよう
自分自身を認めることからはじめよう
声をかけることからはじめよう

完璧にはほど遠い
人間という小さい存在だけれども


自由詩 時のことば Copyright まきび 2006-04-07 21:47:06
notebook Home 戻る