日々。
有邑空玖



日々は
音に紛れてゆく


静寂さは救いにならない
蕾の綻ぶ音さえも
きみは哀しいと云うのだろう


指先からは空の遺伝子
過去は遠く、未来は果てしないのならば
揺らぎのない今日を生きるしかない果敢なさ


電線を軋ませて
届けたい言葉を幾つか
きみの両手は選んでゆく
日々


仕方のないことだらけの世界に
溺れそうになる弱さも
「好きなものは好き。嫌いなものは嫌い」
と舌を出す無邪気さも不穏でしかなくて
夕暮れとともに消え去る町の音を望んでいる


日々は
繋がりを持たない時間の羅列だ
脆弱さは理由にならない
時折振り返っても
未来は見出せないだろう


繋いだ手を離さないように
不穏さすら糧にしてゆく
雑音に紛れる言葉を見失ってはいけない
指先には空の遺伝子
朝はいつだって
明るいだろ?




自由詩 日々。 Copyright 有邑空玖 2006-04-04 13:04:38
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