濃縮回廊
あおば

春雷が鳴る度に
回廊に籠もるので
駕篭かき風情が

嫉まれている

回廊を出たら
富士山が見えた
のろのろ歩いていたので
後方からの
人力車に抜かれて
お客さんに叱られる
抜き返したら
酒代をはずむと言われ
先棒はその気になって
足を速めた

椋鳥の館に着くと
逃げ出したコウモリが
渦を巻いて旋回している
前を歩く広報課長は
海が好きで
夜でも舟を出す
波があっても
少しも
怖くないと語る




作2006/04/02


自由詩 濃縮回廊 Copyright あおば 2006-04-02 18:44:16
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
四文字熟語