say yes!
腰抜け若鶏

立ちはだかる突風の勢いに弱まる気配はなく
豪雨と雷鳴がうちつける激しい嵐の予感さえする
冷たい風が骨の髄まで凍みてきて
奥歯がガタガタ言い始める
だから俺はぐっと強く奥歯を噛み締めた

猛烈な勢いで圧し掛かるこの逆風は
紛れもない“俺”が生きてるって証なんだ
俺の目には栄光を掴む自分の背中しか見えちゃいない

風に逆らうなんていけない、できない、やめなさい
たとえあなたが間違っていなくても
たとえあなたが正しくても
いずれは必ずその命の炎が吹き消されてしまうから

それでもいいんだ

人は誰でも死ぬ瞬間に自分自身に問いかけるんだ
「お前は誠実であったか?お前は善人であったか?
お前の人生に偽りはなかったか?
お前はいつもその時の自分にできる最善を尽くすことができたか?」

俺にはNOと答える必要はなかった
けれどYESとも答えられなかった

いずれはすべてが失われる
地位も名誉も財産も
愛する人も憎むべき敵も

母親の腹から生まれ
その産声を高らかにあげてから
1つ、また1つ
この世界とのつながりを増やしてきた

死ぬ瞬間、そのつながりが
ブチブチと音を立ててちぎれていく
そして最後に一本だけ残った“自分”が問いかけてくるんだ
「お前の生まれてきた意味は?」

今度は答えてやるさ
胸張って自信たっぷりに
そう覚悟を決めたなら
もう一分一秒無駄になんかしていられない
最後の答えはもう決まってる
say yes!


自由詩 say yes! Copyright 腰抜け若鶏 2006-03-31 10:13:00
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