夜の窓から
まどろむ海月





夜の窓に遠く
過ぎる電車を
手のひらにのせる

人気の少ない座席に
ごとごとと震えながら
閉ざされたあなたの
かなしみは 何処へ行くの

私の身体は
透き通り 夜空に広がる

先回りをし 走る電車を
そっと包んでみるのだが
小さな窓を覗いてみるのだが

川面に映る電車の灯
揺れる走馬灯

おねむり おねむり
おおきすぎるものにも
きっと 気づくから



  また であったね
  おおきいのもいいけど
  僕らの身体は
  星空に透けて
  すかすかだよ

  梅の香が残っている
  桃も桜も咲きはじめた

  今夜は 獅子座のデネボラから
  乙女座のスピカを経て
  春の大曲線をたどりながら
  アークトゥルスの方へ
  向かってみないか

  おや
  きみの手は
  不思議に 温かい





 




           
         


自由詩 夜の窓から Copyright まどろむ海月 2006-03-30 10:35:08
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