詩と言う子供を生むこと
海月

私は今日始めて子供を生みました
長い長い道のりで初めてでした
想像以上に重く
想像以上に暖かいものでした

私は今日二回目の子供を生みました
とてもとても短い道のりでした
想像以上に軽く
想像以上に冷たいものでした

私は今日始めて子供を殺してしまいました
簡単なもので消しゴムが在ればそれだけで十分でした
何も言わずに息絶える姿に
命とはこんなに軽いものなのかと知りました
「いや、違うよ」と誰か一言を言って下さい

私は今日も子供を生みました
名前を初めて付けてあげました
「詩」と言う名前を付けました
「他の子供にも名前を付けてあげようよ」と君が言いましたから
自分の子供全てに「詩」と言う名前を付けました

いつしか殺してしまった子供にも名前を付けました
皆と同じ名前を捧げました
その時に責任感を感じるのです

私は今日も子供を生むのです
自分の子供を生む責任感に耐えながら
二度と殺すことのないように
消しゴムは子供の手の届かない所



自由詩 詩と言う子供を生むこと Copyright 海月 2006-03-26 16:08:59
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