パスタを茹でる間に
RT

パスタを茹でる間に
僕は死んでしまった

彼女は救急車を呼んで僕を運んだが
既に手遅れ
帰宅した彼女は
味のないぐずぐず茹ですぎのパスタを
僕の最後の料理を
ひとり頬張る
ぽろぽろ涙を流しながら
涙の塩分をスパイスに食べるのだ

なんてことを空想していたら
パスタを茹ですぎてしまった
彼女はムッとしながらも
黙って食べる

「さっきは可愛く泣いてたのになあ」
心の中で言った筈が声が出ていたらしい
どういう意味よ、と彼女は睨む
おおコワ

またジャンケンに負け
お皿を洗いにキッチンへ

退屈なので
僕は空想する

お皿を洗う間に
僕は…


自由詩 パスタを茹でる間に Copyright RT 2004-02-06 22:38:35
notebook Home 戻る