星 Ⅰ
木立 悟


雨の後ろを飛ぶ鳥が
光のかけらを浴びながら
虹を知らない心に向かう
青い光と白いふちどり
鏡の内の明るい声が
長く遠い夢のように
無数の羽の銀河のように
球く荒んだ光を抱く


星のからだのまわりを
水の音が泳いでいる
細い一本の光の出口
闇のなかの胸を照らす
まだ想うもののない
殻のなかの胸を照らす


蜘蛛が降りる壁
冷めた光の文字
水に残る夜の雲
雨の朝に中州は消え
なかば沈みかけたなにかが
流れに波紋を作りつづける


空を覆う音をたて
生まれたばかりの季節は動く
鉱の息が揺れている
原のすべてが北へ傾く
ふたつの異なる響きのなかで
午後は午後に重なってゆく


歌に招ばれて 大気に咲く花
空に落ちる 雲より濃い影
高く 高く
輪のように連なり
真昼の海を越えてゆく





自由詩 星 Ⅰ Copyright 木立 悟 2004-02-06 20:37:16
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