流星雨、私を湿らせて
たりぽん(大理 奔)

枯れ葉を踏みしめていく
君の背のように湿った、足取りで
雪はまだ時間を閉ざそうと
道端で爪を研いでいる

忘れようと辿り着いたのに
捨て去るなと
朽ちかけた木橋が
つららを流す渓流で

  閉ざされたのは、自分だった
  自分の中の、自分だった
  自分の中の、自分の中の、自分だった
  でも、すべて自分だった

曇り空を裂いて、晩冬の日差しが
分け隔てなく、すべての自分を貫く
永遠すら熱を帯びるために
その身を燃やすから、無限ではない

  限りがあるから
  あんなぼんやり灯っていても
  集落の息づかいが
  耳元で聞こえるのだろう

君の背が湿っているのを
感じるのは、この手のひら
もう、ぬくもりまで掴み取るように
五体投地で抱きしめたら

閉ざされたはずの時間が
朝と夜、すべての露を含んで
(さあ、雪をとかして)

流星雨の疾る夜に
私を湿らせるだろうか




自由詩 流星雨、私を湿らせて Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-03-22 23:57:27
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