渡邉建志

 
自己嫌悪の深い海を
およぐ
くろくて
きらきらしている
むこうには
たからもの

 
自己嫌悪の海をあがって
自己嫌悪の海岸を歩く
自己嫌悪の貝殻をふむと
からからからとおとがして
自己嫌悪の足の裏から
自己嫌悪の静脈から
自己嫌悪の血が流れていく
 
自己嫌悪の血の道が
海岸に残っていく
自己嫌悪の禿鷹が
頭上で鳴いている
 
アエー
アエー
アエー
 
からからからとおとがして
自己嫌悪の血が流れていく
わたしのこどもじだいのわらいごえが
しずかに聞こえてくる
 
 


未詩・独白   Copyright 渡邉建志 2006-03-21 18:58:47
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