アーガイルなクロコダイルは衣替え希望
たもつ



父、抑留始まる
ゴミ箱にクローゼットをしまう
近親憎悪の目に晒されながらも
脱皮を繰り返し
それでもよくケラケラと笑い
スクスクと育ち
糸をほどく
糸は糸だらけになり
パジャマの背丈よりも高くなる
そのうちに外は夕暮れ
というわけでもないのだが
どこからか複数のワニの歩く音が聞こえ
みなが単一のアーガイル柄で
まだ矢印にもなれない
父、抑留には慣れましたか
僕の手紙は悲しい人の背中になり
化粧水のように粘度をました母の
セーターの網目から先細っていく
コンセントを探してドライヤーのプラグ
陽の当たる玄関でつまずいた拍子に
たくさんの名前を次々に吐き出してしまう
整然と並べていけば美しい家系図になるのに
僕の名前だけが春に咲く花になりたがってる
気がつけばワニの子が一匹
はぐれて路頭に迷い
けれど路頭はどこにもないので
矢印になるための衣替えを準備している
父、抑留はまだ終わらないでしょうか
僕はただ
守るべきものを守りたいだけです




自由詩 アーガイルなクロコダイルは衣替え希望 Copyright たもつ 2006-03-21 09:01:30
notebook Home 戻る