永遠の
プテラノドン

 びしょ濡れの二人。川岸に這い上がった恋人達。
「永遠はカナヅチなので溺れてしまう」と彼は言った。
僕は、口から水を吐き出す彼女にハンカチを渡した。
すると彼女は「不条理の相方である可能性のようなあなた―」と
お礼を言った。が、彼女に名前を聞いても教えてくれなった。
それから彼は―ほとんど僕をほっぽらかしにしたまま―彼女とキスする。
「私たちって永遠みたいでしょ?」と彼女は、嬉しそうに訊いてきたが
「カナヅチは永遠じゃないよ」と僕は呟いた。あるいはそこで
永らえるというより、ほとんどそこで終わってしまった―ような
そこから、ハンカチが戻る事はなかった。仮説的ではあるが
永遠でもある二人の、膨らみ上がった二つの死体の上に
不条理にも被さるように落ちるだけだった。


自由詩 永遠の Copyright プテラノドン 2006-03-21 01:57:57
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