スペース・オペラ
まんぼう

年老いた子供たちは
宇宙戦艦ヤマトの艦長になって
強力無比のバリヤーに守られ
波動砲で全ての敵を蹴散らして
前方に広がる星の海へ

嗚呼でも
極厚の特殊合金越しに
宇宙の寒さが身に染むだろう

生き別れた大人たちは
決して知られることのない
砂漠の地下基地で
中性子爆弾や水素爆弾
原子爆弾の発射ボタンを磨きながら
平和を侵す見知らぬ敵を脅しつける

まさに其の時も
堅牢無比の地下シェルターごしに
砂漠の暑さが身を焦がすだろう

夢から覚めれば
木枯らしの吹く街頭
ばっさり浴びた返り血や
凍りつくよなあの女の涙で
義理も人情も通さなくなった
縞の背広に身を包むと
暮れてゆく年の瀬の賑わいと
取り返せない後悔に
惻惻と首筋が寒いのです


自由詩 スペース・オペラ Copyright まんぼう 2004-02-06 11:18:59
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