冬の終わりの草笛が
たりぽん(大理 奔)

幼い頃知っていた
時間を巻き戻す
不思議な眠り

思い出せないままの
まっ赤な空がいつまでも続く
夕餉ゆうげの前の過ごし方

秒針も知らず
時計も持たず
生きていけた
あのころ

  知りながらじゃなくて
  忘れながら大人になる

  朝には夜を(はっ、いちばん星だってさ)
  夜には朝を(ふん、あさ露もかい)
  草笛だって(奇妙な音で吹けたはず)

時計は捨てなくても
いいよ、きっとそれだけは
忘れていくから

知りながらじゃなくて
思い出しながら老いてゆく


  ほら、草笛が

     草笛が








自由詩 冬の終わりの草笛が Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-03-19 23:53:26
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