メロディーの羅列たちが仔猫を取り込んでいったのです
今唯ケンタロウ

メロディーがその仔猫を取り込むと
仔猫は
おびえた!!
あまりにも当たり前の光景なのでしばし見惚れると
たくさんのメロディーたちが仔猫を片っ端から取り込んでいった
これもあまりにもおあつらえ向きな光景
仔猫は
おびえた!! おびえた!! おびえた!!
仔猫は比較的早く(アメンボなどに比べて)吸収されるので
メロディーは絶え間なく仔猫を急襲


           一匹漏れた

おびえた!! おびえた!! おびえた!!
八十三ほどのメロディーが行過ぎると
もう最初の方のメロディーは
音符構造に変化をきたしていた

周知の通りメロディーは頭蓋骨を捨テマス カカカ
カカ カ ……
音符構造が複雑化した時に
メロディーたちは
あるグループはいやあらしい目をして
あるグループは至極冷静に振る舞い
あるグループは見下したようないやあらしい目をして
あるグループはもういなくなっていた
カカ カ
としか我我には聴こえない音符構造が複雑化したメロディーの羅列は
仔猫にはあり得ぬ絶頂を齎し至福にいたらしめることが
精密機械工学の研究から明らかになっているが
つまりこの時すべての仔猫は頭蓋骨になっていたので
             勿論一匹漏れたのも今は…
/皆既に内部機械構造として聴いていた《夢の延長》
      ≒
    外部共鳴和音として鳴っていた《残留物質》/
その時
あるグループはもういなくなっていたのだが
別の場所でいやあらしい目をして仔猫をみつけていくのでありました


自由詩 メロディーの羅列たちが仔猫を取り込んでいったのです Copyright 今唯ケンタロウ 2006-03-19 19:19:22
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