コンクリート家族
夕凪ここあ

さっきからヤギが
書いた詩書いた詩を
遠慮なく食べてしまうので
一向に進まない
今日までに仕上げなければ
いけないというのに
ヤギはお構いなしに
食べる 食べる
おいしそうにしているのを見て
横で娘が かわいいねぇと言う
草を食べさせようにも
ここは十二階なので
庭も植物もない
ヤギの食欲は止まる気配はなく
あげくの果てには台所で妻が
ヤギの食事まで用意している有様だ
かわいいわね と時々声がする
東京のマンションは
ヤギを飼うのには向いていない
ヤギが詩を食べ散らかしている横で
餌になるであろう詩を書き続ける
ちっともかわいくはなかった


自由詩 コンクリート家族 Copyright 夕凪ここあ 2006-03-17 07:54:38
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