カブトムシが這う
竜一郎
えらくでっかいカブトムシが
ズボンの中を這っている。
角は窮屈そうに柔らかく折れ
鋭角さに欠けてしまっている。
その姿を見た近所の子供は
こんなのカブトムシじゃない
といって、私のズボンを脱がそうとした。
「公衆の面前で!」とカブトムシは叫び
狭い中で羽を鳴らす。羽根がぶつかる。
ズボンはどんどん傷んでいく…気がする。
子供の親がどこかから出てきた。
誘拐事件と間違えられるかもしれない。
子供の性別は女の子であった。
自由詩
カブトムシが這う
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竜一郎
2006-03-16 14:23:06