空景
霜天
新しく始まるための時計の
その呼吸を練習している
一つのことが、大きすぎても
それでも朝は生まれてしまうので
一新される心音を、他人事のように聞いてしまう
どこで区切っても
省略できない空は
いつも近すぎるものが遠くて
過ぎ去れない風景ばかりが
この手には残ってしまう
いつか飛ぶ鳥の真似をしてみたけれど
未だに、声すらも辿り着けないでいる
翌朝には
船が出る
そう、聞かされているけれど
どこに信じる行方があるだろう
単純な物事に
値札を付けて
そっと、押し込む
クロールの息継ぎで
押し寄せてくる世界へ
翌朝にはきっと、船が出る
波間に、数多い波の一つに、切り抜ける術を聞きたくて
定まらない心音を
押さえ込む呼吸を知っている
明日には
知ることもない空の景色が
破裂する
防波堤の上
鳥になれたなら、私は─
そう言って飛び立ったあの人の行方を、どこにも
知らない
また新しく始まるための空
心音がここに、落ちてくる