フェイク
たもつ



鉄の味が庭先をくるくる泳いで
昔の叔父さんに似ていた
遅すぎたわけではなく
けれど早すぎたわけでもない
生まれてこないものも
生まれてくるものと同じくらいに
表札の所有者なのだから
夏の日が暮れる頃になると
もはや誰もが
迷信など信じなくなっていた




自由詩 フェイク Copyright たもつ 2006-03-10 23:15:09
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