塵と挽歌
美味

  揺らめく波間に
  繰り返し見た雑踏
 が紛れた
  千切れた空虚は
  まるで私そのもの


         必ず会う誓いも
           砂の血のように
         薄い体を削りながら
         崩れ     無へ


焼き棄てたカナリアの羽を
  飛べないんだよ
教えて雫が冷たく凍った


      際限のなくなった
       凄惨の雨
      消えてしまう
       土に埋もれて
      花のように枯れて
       あなたさえ居なくなって
      しまえば良いのに


 虚言の海に溺れて
  私は名前を沈めた
   二度と月は
  光を返すことのない
 鏡になる


         終わらない
       崩れそうな私を
   無情に支え続ける憎しみ
      赦しを乞う言葉は
      あなたの賛美歌へ


  尽き果てる悲しみ
      があること
  目は既に何もかも
  束縛していないのに


             消えて終う
  あなた
               わたし
  さえ消えて終えば


    憎しみさえ

 
  際限なく

       千  切   
            れ     て







          塵と挽歌









自由詩 塵と挽歌 Copyright 美味 2006-03-07 21:07:14
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