25Y・12.4
木立 悟






 恐怖は何者にも触れず、視界の端々の森の内と外に属せるだけ属しようとする。
この無知、この保守、この空腹。同例などなく、差別もなく、真なるものもない。
ひとつの点が百になり、そして、はじめて、語れるもの。
百が那由他に、無限に至っても、けっして気を震わす火を持たぬもの。
水は油で終わりのひかり。ひとつをななつに分けてかがやく。
 私がたたずむ場所があろうか
 私が抱ける腕があろうか
 望みを奪われあるいは捨て去り
 望まぬものを植えつけられて
 茶の葉のカケラは舌から動かず
 左の手のひら
 焼けてくずれたぐみの色
 金は不可視の地下の色
 秋は秋ではなくなってゆく
 雪が冬だと誰が決めた
 おまえより優れたものたちが
 句読点によって
 空気の地層のように積みあげた
    








自由詩 25Y・12.4 Copyright 木立 悟 2006-03-06 21:01:33
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「吐晶」より