25Y・12.2
木立 悟






 長いあいだうごめき、たった今、この爪のための土地にたどりついた。
何度遠回りをしたことか、迷ってしまうことができたらまだしあわせだったのに、
何度も何度も忘れることもできずに、他のことはただ忘れるばかりのまま、
ここに着き、ここに居て、ここで線を走らせることができる。
 もう何を待つことがあろうか。
自分は今、再び、吐きながら飲み込みながら冬を得たのだ。
 自らの骨を見て言う
 「頬骨のものだ」と
 既に目を失い 言う
 「苗床に触れている」と
 腕を掘り起こし
 種子を蒔いたのだから
 







自由詩 25Y・12.2 Copyright 木立 悟 2006-03-06 20:59:38
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「吐晶」より