桜子
銀猫

春が

     はるが

傘の水滴に溶けて
声も密やに
幼いまるみの春の子に
子守唄を聴かせる


まだ固く木肌の一部の様子で
繚乱、を隠した蕾は
雨にまどろみ
陽射しに背骨をつよくして
空の号令を待っている


桜が

     さくらが

紛れも無く
祝宴と
小さな砂混じりの風を呼んでいる
風は空色を待っている


髪上げ初めし愛しい額のうえに
瑞々しく春の産毛を輝かせるおまえを
わたしは待っている

まって いる


自由詩 桜子 Copyright 銀猫 2006-03-06 18:17:03
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