祭りのあと
佐野権太

厳かな表情は
白い和紙に包まれて
丁寧にしまわれていく
もうしばらくは
という
僕の意見は
宙に浮いたまま

ぐずっていた子供たちは
いつのまにか嬉々として
桃、橘と桐箱の中へ

(そういうものよ
と、君は
理不尽な慣習をなぞらえ
またひとり抱き上げる

きっと
いつの日か
白絹に目元を隠し
ひとり
またひとり

そういうものか

わかってる
わかってはいるんだ

ぽっかりと空いた
ささくれた畳に

やわらかい春


自由詩 祭りのあと Copyright 佐野権太 2006-03-06 13:44:02
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