バーテン
うめバア

仕事が明けると
夜が明ける

疲れすぎて
気持ちが高ぶって
まだまだこれから
なんて思う

これから帰って眠るというのに
自販機で
ブラックコーヒーを買ったりする

夜明けのタクシーは
何を乗せる?

夜を脱ぎ捨てて
空っぽになった
男たち、女たち

きらびやかな
夢たち、幻想たち

凍りつく夜を嘘にする
毛皮のコートや
ダイヤモンド

君は今も
場違いな愛を
探し求めているの?

信じられないよ
真実の愛を
六本木で探そうなんて

そういうのはせめて
卒業した小学校とか
雪の降る無人駅ぐらいにしておこうよ

18の春、僕たちが
全部捨てた、あの町程度に
とどめておかなけりゃさ

だからビルのてっぺんから
飛び降りたりする羽目になるんだ

白々と明けた町の歩道には
落ちた天使の羽が
満ちあふれてる

僕はそれをひとつずつ拾いながら
やがて朝へ、姿を変える町を去る


自由詩 バーテン Copyright うめバア 2006-03-06 00:03:28
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