途切れ目 に
塔野夏子
夜が来る
月があってもなくても
私は鳴く
誰にも聞こえない声で
私にも聞こえない声で
私という存在の途切れ目 に
夜ごと咲く花があるからだ
けれど私はその花に
触れることはおろか
それを目にすることすら出来はしない
それは途切れ目 にあるからだ
ただその花が咲き
途切れ目 を吹き抜ける風に
花びらが震える気配だけを感じ
私は鳴く
誰にも聞こえない声で
私にも聞こえない声で
途切れ目 にあるゆえに
決して実を結ばないその花を想って
自由詩
途切れ目 に
Copyright
塔野夏子
2006-03-05 17:12:01