ゴミ山とテレビの象徴
プテラノドン

まず
捨てられたままの
目くらのテレビの
スイッチを入れてみろ

おはよう と老婆が
自家製ジャムの瓶に向かって
声をかけると同時に、眠そうに目をこすった
孫たちが起き出すから

学校に遅れるわよ、と彼女は言ったが
時すでに遅し
辺りは夕陽に包まれている
孫たちは壊れたストーブで遊んでいる

そこにありもしない熱があるみたいに
ストーブの新しい意味を発見するかもしれない
もちろんそんなこと
家電製品の説明書には書かれていない

忘れないように老婆は日付を書いた
書いては忘れ
忘れては見た
それはジャム瓶に限らなかった

それら全部
ゴミ山に埋もれているのだ
ほとんど粉々に砕けながら
それでもどうだ

テレビは ブラウン管は
簡単に壊れない
伝える事が多すぎた
多すぎるから伝えなかった

だからって
何もなかったわけじゃない
テレビに映っていたはずだ
スイッチを入れる自分の姿が


自由詩 ゴミ山とテレビの象徴 Copyright プテラノドン 2006-03-04 01:49:02
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