ガードレール
ベンジャミン

白にはどんな色も似合ってしまうから
僕は白が羨ましい

ガードレール

どうってことのないカーブだった
緩やかな曲線が空に続いているなんて
今でも信じていない


あいつは
小学校から友達で
中学校では仲間になって
バイクに乗った

小さい頃
足の遅い僕は鬼ごっこで
すぐ鬼になる
高鬼で
わざとつかまってくれる
低いところで
そんなやつ

バイクでいつも前に出て
僕の速さに合わせてくれた
追いつけるスピードで
だからいつも届く距離にいた
そんなやつ

なのに
ガードレール

歪んでしまった
痛みは感じなかっただろうと
家族の人が言っていた

花束

白いガードレールに
とてもきれいに見えた
同じ色の花の中
まるで眠っているみたいに
「話しかけてあげてください」と
言われた
僕は何て言ったのか
思い出せない

雨が降っていた

ずぶ濡れになった
ずぶ濡れに
なりたかったから

白にはどんな色も似合ってしまうから
僕は白が羨ましい
けれど

いつも届く距離にいた
あいつがいない

高鬼で
わざとつかまってくれた
あいつがいない

前を走って
僕の速さに合わせてくれた
あいつに追いつけない

ガードレール

白にはどんな色も似合ってしまうから
僕は白が羨ましい

そして

白はどんな色も似合ってしまうから
僕は白が好きだ
たけど

ガードレールは嫌いだ
ガードレールにきれいに見える
花束も嫌いだ

それでも僕は
ガードレールに花束を置く

そして

自分が置いた
花束を見ないように
空を見上げる


雨が降っていた

ずぶ濡れになった
ずぶ濡れに
なりたかったから


雨が降っていた

いつまでもやまないような
そんな気がした


   


自由詩 ガードレール Copyright ベンジャミン 2006-02-28 08:21:08
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