樹の中に
あおば


樹の中に大きな穴を開けてやる
啄木鳥のように朝から晩まで
喧しく叩いている

壁の中に丸い穴を開ける
電気ドリルの電池が切れるまで
喧しい振動が続くまで

地面に大きな穴を掘る
パワーシャベルのエンジンが
クタクタになって悲鳴を上げるまで
喧しくアクセル踏んでやる

空に大きな穴を開ける
思いきり息を吸って
ちょっと吐き出す
この胸が破裂するまで
喧しく吸うことはない
喧しい啄木鳥が空を飛んで
穴に落ちる
捉まえて剥製にしてこっそり
高く売り付ける
ご禁制の品は儲かるのだ
昨日開けた穴を今日
丁寧に修復して
判らないようにしてから
穴に潜って眠る
明るい夢が良いと思うが
暗い夢を見ることが多いので
穴の周囲をアルミ箔で補強して
居心地を良くしたい

啄木鳥の足を掴んで
壁に植えた

山鳥の足を掴んで
地に植えた

厚ゾコの足を掴んで
空に植えた

毎日がそこにあり
植えたもの達が
喧しく吼えて
朝を迎えるのだ





作2000/03/14


自由詩 樹の中に Copyright あおば 2006-02-26 02:37:24
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