きりん。
桜 葉一

先生が転校生を紹介した。
キリンだった。
だけど首が長すぎて教室に入れないから
教室の外で、窓から顔を入れて勉強している。

キリンの家に遊びに行った。
部屋の中心に座れば、取りたいものをなんでも取れるようだった。
便利だと思った。

恋人ができたからと、キリンが長い長い特注のマフラーを買った。
2人で首に巻くらしい。

キリンが家出をした。
でもすぐ見つかった。

朝、2階にある僕の部屋の窓を叩く音がした。
どうやら、一緒に登校しようと誰かが迎えに来たらしい。
小石でもぶつけたのかと、カーテンを開けて見ると、
キリンだった。

かくれんぼをした。
僕が鬼だった。
100数えて、辺りを見まわした。
すぐに1人見つかる。
キリンだった。

テストをした。
カンニングを疑われた生徒がいた。
キリンだった。

映画を見に行った。
スクリーンに縦に一直線の長い棒のような影が写っている。
キリンだった。

体力測定をした。
キリンは結構、機敏だった。

バスケの試合をやった。
圧勝だった。
僕のチームを勝利に導いたのは、
キリンだった。

キリンとテレビを見ていた。
ある有名な女優が出ていた。
樹木希林だった。

公園に新しい滑り台ができたと聞いた。
茶と黄のぶちぶち模様。
キリンだった。

キリンはビールを飲むらしい。
だけど、ある会社のビールだけには手をつけない。
それは……


自由詩 きりん。 Copyright 桜 葉一 2006-02-23 16:49:33
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