舟が見える風景
佐々宝砂
頭上でせわしく機械音が響いている
腐った畳を敷いた地面はひどく歩きにくい
どうしてだか私は暗い茶畑を徘徊しているのだ
踏みこんだ裸足がずぼりと畳にめりこむ
視界いっぱいに夜空 雲間を滑る葦舟
安定を失って私は倒れおちてゆく
(未刊詩集「異形小曲集」より)
自由詩
舟が見える風景
Copyright
佐々宝砂
2003-07-19 00:58:24