傷、いとしく
たりぽん(大理 奔)
冷たい雨の暗がりが
ぼんやりと寂しく誘う
私を溶かし込むには
ちょうどいいおおきさで
ほほにつたう
みぞれの砕けた
飛沫
(
しぶき
)
雲からはぐれた
それも孤独
いいわけ
と嘘で
踏み込まず背を向けた
傷
大切なものはいつも永遠じゃない
ひととき灯した
篝
(
かがり
)
埋火
(
うずみび
)
で首筋に刻んだ
痛みの跡
そっと
掌
(
てのひら
)
でなぞる
君の名のようにそれが
愛しい
2005-10-15 未詩投稿 いとしい 改稿
自由詩
傷、いとしく
Copyright
たりぽん(大理 奔)
2006-02-19 13:41:29
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