赤目の蟲
maumi

空を見つめる多眼の赤目
人はそれを畏怖し跳ね除ける

何をしたわけでもなく
何をするわけでもない
その赤目を忌み嫌う

嫌われても
嫌われても
微笑む赤目に
ただ一つだけ守りたいものがある

春の訪れに村人は笑い
夏の恵みに歌い
秋の収穫に踊る
甘い果実を採る女
その笑顔は赤目の喜び

空 暗雲の隙間より赤に染まる時
災いは北西より来たる

かみ締める唇に決意の光
振り向く後ろに守るものあり
災い雄たけび挙げて
喰らう恐怖

恐怖ほど美味なり食事は無しと
裂ける口元に
筋が伸びる

手をかざし
唸る咆哮が災いを貫く

消え去る灯火の赤目と
消え去る暗黒
その隙間から空

空を映す多眼
その色は
どこまでも青く
どこまでも澄んで・・・


自由詩 赤目の蟲 Copyright maumi 2006-02-17 18:27:03
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