シリウスの眠り Ⅵ
木立 悟
幽霊の歴史を持つ国よやって来い
肉の息を切りひらき
何者かの空腹からやって来い
何を踏みつけ
何を苦しむ
折れた風
折れた芽を運ぶ
糸羽の国よやって来い
心臓を脳を脱ぎ捨てたとき
説明の墓の前で
子供の後ろ姿だけが輝いていた
影を生まない星のため
むなしく結婚の歌をつぶやいていた
美しい すべてが美しい
夜を流れる気球民族都市のように
月を砕く波
波を砕く雨
自らを吸い上げる水の手のように
自由詩
シリウスの眠り Ⅵ
Copyright
木立 悟
2006-02-15 22:54:14