シリウスの眠り Ⅱ
木立 悟





窪みを照らす草の色
私の言葉はまだ実らない
土のにおいのする
沈んだ村のような湿原を私は歩きたい
狂った身体を引きずって
救われすぎた魂のために祈りたい
風を喰らい
指を貢ぎ
不変に触れて笑いたい



問うものもなく私は答える
ひとつひとつの葉に
水底の鳥居に
苔むした地蔵に
聞くものもなく私は応える
今こそ
この祝祭のない湿原に



風が去り 雲が去り
傾きがすべてを支配する
天体は沈まず
盲の森をひかりで満たす
砂漠の玩具
ただれた印
讃歌
たどたどしい天使の絵
造るためだけに造られた街を
寄生木の翼が見下ろしていた










自由詩 シリウスの眠り Ⅱ Copyright 木立 悟 2006-02-15 17:48:53
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