片恋連歌
北乃ゆき

   1
   ・
閉ざされた
扉の中にふたりきり
彼女もしらない
わたしだけのきみ
   
   2
   ・
きみの為
何もできないわが身ゆえ
泡となれる
人魚を羨む

   3
   ・
やみの中
ただ消えていく
きみの名を
発してしまう
かなしき唇

   4
   ・
恋色に
染まりきった
我が瞳
それを見つめる
曇ったきみの目

   5
   ・
ひとつだけ
きみの為にできること
この狂愛を
消す事でした

   6
   ・
一度きり
きみに伝える恋ごころ
一度きり
色を持った
恋ごころ

   7
   ・
別れさえ
静かなものでありました   
さよならさえ
求められない
わが身ゆえ


   8
   ・
年かさね
幾他の男と交っても
心に根付く
きみの面影


自由詩 片恋連歌 Copyright 北乃ゆき 2006-02-14 02:38:44
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