歩行術
A道化








冬の太陽で
酷くなったアスファルトにて
克明に、枯れ切った、細枝
その黒い輪郭がさらに
冬の太陽で静かに激化する


前景に過ぎぬ。
前景に過ぎぬ。
痛みなど無い筈の、
痛みなど無い筈の、


歩く、
その為に
わざと遠くを見つめ
そのまま首を固定するのだ
そうすれば安らかに
アスファルトは漠然としてゆく
歩く、その為に
遠吠えが止んだ直後の
亡霊的な空白ように安らかに
ほら、漠然としてゆくアスファルトを
静かに濫用して
歩く、歩く、


ええ、
何もかも、前景に過ぎません。
痛みなど、無い、
痛みなど、無い。



2006.2.12.


自由詩 歩行術 Copyright A道化 2006-02-12 07:05:25
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