人ごみ一人

雑踏の中で一人
実在しない 視線と
増してゆく 孤独みたいなものを 
蹴り飛ばしながら歩く
少し爪先が痛む


すれ違う人は 揃いも揃って
バカみたいな笑顔をばら撒く
人ゴミ
今度の火曜に
燃やしてしまえば気が晴れる
そんなわけ無いけれど 
どうやら
燃えカスのような表情になっていたらしく
今度こそ 妙な視線を浴びてしまった


プライドが高いと損だ
親の顔を思い浮かべながら
自分の現状を見下ろして
突然に
風船の紐を握ったまま 飛ばされてみたい
などと思いついたりする
空想は後悔 いつもどおりに


ようやく帰り着いて
夕闇の部屋で一人
孤独はどこかへ消えた

埋もれていなければ わからないことが確かにある



自由詩 人ごみ一人 Copyright  2006-02-10 21:19:19
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