めまい
ミゼット

花屋の前を通ったら
裸足の子が、何かの種を配っていたので
通りすがりに目も合わせずに受け取った。

人が多くて
目が開かなくて
こんな日は
泣きたくて仕方ない

斜めに切り取ってください
指で土を押して種をそこへ
水は一日二回あさとよるに

「決して食べないで下さい」

人が多くて ららーらららー
目が開かなくて らーららー
ららららららららららららら
泣きたくっても私はひとりだ

種を自販機の陰で飲み込んで
電車に三十分揺られて帰る

裸足だなんて嘘だった
貰ったんでない、盗ったんだ
頭痛がするのは種のせい

赤い花
まぶたの裏に点滅する


自由詩 めまい Copyright ミゼット 2006-02-09 17:40:47
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