ゆきだるまの葬列
北乃ゆき
今日はとても良いお天気でした
冬なのにお日様がきらきらして
だから
4日前
クラスのみんなが校庭のはしっこに作っていた
大きなゆきだるまは
顔がぐしゃぐしゃにくずれていて
手袋をはいていた腕は
ただの木の棒きれになっていて
半分とけた胴体は
垣間見えた泥と混じって汚れています
きみは知っていたかい
きみが生まれた時
校庭のはしっこのはしっこで
立っていたぼくの事を
きみは知っていたかい
みんなにかこまれるきみを
校庭のはしっこのはしっこで
うらやましそうにみていたぼくの事を
ぼくはきみがきらいです
あの冬の日
ぼくをむししたじゃないか
はしっこのはしっこに立つぼくを知っていて
知らないふりをしたじゃないか
知らなくてもいいと思ったじゃないか
ぼくはきみがきらいです
ゆきだるまは
ぐしゃぐしゃな顔と
汚い胴体
ぼくはきみがきらいです
1本しかない手と目
口はもうありません
ぼくはきみがきらいです
クラスのみんなは
ゆきだるまの事なんてすっかり忘れて
今日は体育館で遊んでいます
ぼくはきょうもひとりです
ゆきだるまもきょうはひとりです
ぼくはきみがきらいだったけど
くずれたきみの姿が
ぼくに似ているから
ひとりとひとりで
ふたりでいるような気がします
4日前みんなが遊んでいた校庭のはしっこは
今はもうどろどろで
ゆきだるまと雪の塊の中間のような物体が
あるだけです
明日もきっと
お日様がかがやいて
明日には
ぼくはまたひとりです