グラウンド
和泉 輪
人がいないと
グラウンドは淋しそうだ
ただ広さを主張するばかりで
しかしその声は誰にも届かない
私が足を踏み入れると
グラウンドの広さが私を取り囲む
全てが遠ざかっていくので
私は自分を近くに感じる
グラウンドの土には
誰かの足跡が残っていた
まだ憶えているのだろうか
ここに在った人の重さを
遠くで蝉が鳴いている
私は大声を出す
グラウンドが淋しくないように
私は私を置いていく
自由詩
グラウンド
Copyright
和泉 輪
2004-01-30 19:02:51